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日陰をつくる。過ごせる庭をつくる

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日陰をつくる。過ごせる庭をつくる

日陰をつくる。過ごせる庭をつくる

2026/08/28

「庭は南向きが一番いい」

 

外構や庭づくりを考えるとき、そんなイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。

 

確かに、日当たりの良さは庭にとって大切な条件です。

 

植物を育てる。
洗濯物を干す。
明るい庭をつくる。

 

そう考えれば、南側に庭を配置することには大きなメリットがあります。

 

でも、庭時間という視点で考えてみると、少し違う景色が見えてきます。

 

庭は、日が当たる場所だけが価値のある場所ではありません。

 

むしろ、

「暑くて庭に出られない」

という庭では、どれだけ日当たりが良くても、その場所で過ごす時間は生まれません。

 

庭で過ごすためには、

日向と同じくらい、日陰が大切です。

今回は、「日陰」から考える庭時間の話です。

 


 

日当たりのいい庭なのに、誰も庭に出ない

 

外構工事をして、

広い芝生をつくった。

タイルテラスもつくった。

植栽も植えた。

見た目はきれいです。

 

でも、夏になると誰もそこに出ない。

 

理由は簡単です。

 

暑いから。

 

特に群馬の夏は、外で過ごすことそのものが負担になる日があります。

 

子どもが遊びたくても暑い。

愛犬を庭に出したくても床が熱い。

せっかく設置した椅子にも座れない。

 

そんな状態では、庭は「使う場所」ではなく「眺める場所」になってしまいます。

 

庭時間を考えるなら、

「どれだけ日が当たるか」

だけではなく、

「どの時間帯に、どこで過ごせるか」

まで考える必要があります。

 


 

日陰は「暗い場所」ではない

 

日陰というと、どうしてもネガティブな印象があります。

 

暗い。

ジメジメする。

植物が育たない。

 

でも、庭における日陰は、それだけではありません。

 

木陰。

建物の影。

フェンスの影。

パーゴラ。

ガーデンルーフ。

テラス屋根。

カーポート。

 

こうしたものがつくる日陰は、

「外にいられる時間」を増やすための装置

になります。

 

例えば、庭にベンチを一つ置くとしても、炎天下に置くのと、木陰に置くのとでは、そのベンチの意味がまったく変わります。

 

同じベンチなのに、

「置いてあるだけ」

から、

「座りたくなる場所」

になる。

 

これも外構設計です。

 


 

庭の「居場所」には、日陰が必要

 

前回、「庭に居場所をつくる」という話をしました。

 

ベンチを置く。

テーブルを置く。

椅子を置く。

 

それだけでも庭の使い方は変わります。

 

でも、

そこに座っていられる環境があるか?

 

ということも同じくらい重要です。

 

例えば、子どもが庭で遊ぶ。

その横で親が見守る。

子どもは走り回っているけれど、親はずっと立っている必要はありません。

 

木陰にベンチがある。

屋根がある。

そこから庭全体を見渡せる。

 

それだけで、

「子どもを遊ばせる庭」

が、

「親子で過ごす庭」

になります。

 

愛犬との庭も同じです。

 

犬が走る場所だけをつくるのではなく、

飼い主が一緒に過ごせる場所をつくる。

 

そこに日陰がある。

 

水を飲める。

足を洗える。

座れる。

 

そうすると、ドッグランは単なる運動場所ではなく、

家族と愛犬が一緒に過ごす庭

になっていきます。

 


 

「南庭」だけが庭ではない

 

ここで少し視点を変えてみます。

 

家を建てるとき、

「南側に庭をつくる」

というのは、とても自然な考え方です。

 

しかし、外構設計では、南だけを見て庭を考える必要はありません。

 

例えば北側。

 

北側は、一日を通して比較的安定した柔らかな光が入りやすい場所です。

夏には、家そのものがつくる影を利用できることもあります。

東側なら、朝の光を楽しめる。

西側なら、夕方の時間を楽しめる。

 

つまり、

方角によって「庭で過ごす時間」が変わる

ということです。

 

「南だから庭」

ではなく、

「いつ、誰が、何をする場所なのか」

から庭の位置を考えてみる。

 

これも「庭時間」の考え方です。

 


 

家がつくる「影」も、外構資源になる

 

庭づくりでは、植栽やフェンス、屋根などを使って日陰をつくります。

 

でも、忘れてはいけないのが、

家そのものがつくる影です。

 

朝。

昼。

夕方。

季節。

太陽の高さ。

家の形。

隣地との関係。

 

それぞれによって、影の位置は変わります。

 

だから外構設計では、平面図だけではなく、実際にその土地で太陽がどう動くのかを考えることが大切です。

 

「ここにベンチを置いたら、午後はどうなる?」

「この植栽は、数年後にどんな影をつくる?」

「このテラスは、夏に使えるだろうか?」

「リビングから見たとき、どこに木陰ができるだろう?」

 

こうしたことまで考えていく。

 

庭は、平面だけでつくるものではありません。

時間によって変化する空間です。

 


 

植栽は「緑」だけではなく「影」をつくる

 

庭木を植える理由として、

「緑が欲しい」

というのはもちろんあります。

 

でも、庭時間という視点では、もう一つあります。

 

木陰です。

 

木が成長することで、少しずつ庭の環境が変わっていく。

 

夏には葉が茂り、木陰をつくる。

冬には葉を落とし、光を入れる。

風が通る。

季節を感じる。

鳥や虫の気配を感じる。

 

そんな変化も、庭時間の一部です。

 

だから植栽は、

「空いているところに木を植える」

という考え方ではなく、

「どこに、どんな時間をつくりたいか」

から配置してみる。

 

ベンチの横に木がある。

リビングから見える場所に木がある。

アプローチを歩くと木陰がある。

ガーデンステージに影を落とす。

 

同じ一本の木でも、場所によって役割が変わります。

 


 

木陰だけに頼らなくてもいい

 

もちろん、庭木だけですべての日陰をつくる必要はありません。

 

ガーデンルーフ。

テラス屋根。

パーゴラ。

シェード。

カーポート。

目隠しフェンス。

壁。

 

こうした外構エレメントを組み合わせることでも、日陰はつくれます。

 

大切なのは、

「屋根を付けること」

ではありません。

 

「どの時間に、どこを使えるようにするか」

 

です。

 

例えば、3m×3mほどの小さなスペースでも、そこに屋根とベンチ、照明、植栽を組み合わせれば、庭の中に一つの「部屋」のような場所ができます。

 

大きな庭をつくれなくてもいい。

土地の広さを増やすことはできなくても、

過ごせる場所を増やすことはできる。

 

これも外構設計の面白さです。

 


 

日陰をつくると「何もしない時間」も生まれる

 

庭時間には、遊ぶ時間だけがあるわけではありません。

 

椅子に座る。

お茶を飲む。

風を見る。

木の葉が揺れるのを見る。

夕方の空を見る。

子どもが遊ぶのを眺める。

愛犬が寝ているのを見る。

 

何もしない。

 

こうした時間も、庭にはあります。

 

むしろ、何もしないためには、

「そこにいてもいい環境」

が必要です。

 

暑すぎない。

眩しすぎない。

落ち着ける。

視線を気にしなくていい。

座れる。

 

そんな場所があって初めて、「余白の時間」が生まれます。

 

庭時間でいう、

「余白時間」

です。

 


 

「日陰」は庭の価値を下げるのではなく、庭の価値をつくる

 

外構の打ち合わせでは、

「せっかく庭をつくるなら、明るくしたい」

という話になることがあります。

 

もちろん、それも大切です。

 

でも、

明るい庭=過ごしやすい庭

とは限りません。

 

庭には、

日向が必要な場所。

日陰が必要な場所。

雨を受ける場所。

風を通す場所。

風を避ける場所。

 

それぞれの役割があります。

 

全部を一つの条件で決める必要はありません。

 

むしろ、庭の中にいくつもの環境をつくる。

 

朝は東側。

昼は木陰。

夕方は西側。

夜は照明のあるテラス。

 

そんなふうに、

一日の中で居場所を変えられる庭

も面白いと思います。

 


 

庭は「日当たり」ではなく「過ごし方」から考える

 

南向きの土地だから、南側に庭をつくる。

 

それ自体は間違いではありません。

 

ただ、それだけで庭の計画を終わらせない。

「誰が?」

「いつ?」

「何をして?」

「どれくらいの時間?」

庭で過ごすのか。

 

そこから考えてみる。

 

すると、

北庭も候補になる。

東庭も候補になる。

家の影を利用することもできる。

木を植える意味も変わる。

屋根を付ける意味も変わる。

フェンスの高さや位置も変わる。

そして、庭の床まで変わってくる。

 

前回お話しした「庭の床」と、今回の「日陰」は別々の話ではありません。

 

芝生の上で子どもが遊ぶ。

その横に木陰がある。

木陰にベンチがある。

そこから親が見守る。

夕方には照明が灯る。

 

一つひとつをつなげていくことで、

「庭で過ごす時間」

が設計されていきます。

 


 

庭時間を設計するということ

 

私たちが考えている外構は、

「カーポートを付ける」

「フェンスを付ける」

「タイルテラスをつくる」

という商品単位の外構だけではありません。

 

もちろん、実際の工事では商品を使います。

 

でも、その前に考えたい。

 

その商品によって、どんな時間をつくるのか。

 

日陰をつくる。

その結果、庭に出る。

ベンチに座る。

子どもを見る。

愛犬と過ごす。

風を感じる。

何もしない。

 

そんな時間が生まれる。

それが私たちの考える、

「庭時間をデザインする」

ということです。

 

庭は、日当たりの良さだけで評価するものではありません。

その庭で、どれだけ「過ごしたくなる時間」をつくれるか。

その視点から見ると、日陰は決して脇役ではありません。

庭時間の、立派な主役の一つです。

 


 

次回予告

 

次回は、庭時間を考えるうえでもう一つ重要なもの。

 

「視線」

 

について考えます。

 

せっかく庭にベンチをつくっても、

道路から丸見えだったら?

隣の家の窓と目が合ったら?

リビングのカーテンを開けられなかったら?

 

「庭に出たいのに、なんとなく出ない。」

 

その原因は、広さでも床でも日陰でもなく、視線かもしれません。

目隠しフェンスは、ただ「見えなくする壁」ではない。

庭で過ごす時間を守るための境界線。

 

次回は、「目隠しから考える庭時間」です。

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