株式会社ローカルガーデン

防災設備ではなく、普段から使う庭。もしもの日にも役立つ外部空間

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防災設備ではなく、普段から使う庭。もしもの日にも役立つ外部空間

防災設備ではなく、普段から使う庭。もしもの日にも役立つ外部空間

2026/09/10

防災のために庭をつくる。

 

そう聞くと、非常用の設備を置いたり、防災用品を収納したり、何か特別なものを備えたりすることを想像するかもしれません。

もちろん、それらも大切です。

 

でも、私たちが「庭時間」から考えたい防災は、少し違います。

 

防災のためだけの庭をつくるのではなく、普段から使っている庭が、もしもの日にも役に立つ。

 

そんな外部空間です。

 

子どもと遊ぶ。

家族で食事をする。

愛犬と過ごす。

ベンチに座る。

植物に水をやる。

車を整える。

何もしない。

 

そんな「いつもの時間」のためにつくった庭が、災害時にも家族を支える。

それが、庭時間から考える「防災」の一つの答えだと考えています。

 

防災設備は「使う日」が限られている

 

防災用品の多くは、基本的に「もしものとき」のために用意します。

 

非常食。

簡易トイレ。

発電機。

防災用品。

備蓄。

どれも重要です。

 

でも、これらは基本的に毎日使うものではありません。

一方、庭は毎日使うことができます。

 

ベンチに座る。

子どもが遊ぶ。

洗濯物を干す。

犬と遊ぶ。

植木に水をやる。

車を停める。

夜に照明を眺める。

 

つまり庭には、

「普段の暮らし」と「もしもの暮らし」をつなぐ力があります。

 

だからこそ、庭を防災の視点から考えるとき、

「何を備えるか」だけではなく、

「普段から使っているものに、もしものときの役割を持たせられないか」

と考えてみたいのです。

 

ベンチは、ただのベンチではない

 

例えば庭にベンチを置く。

 

普段は、

子どもが遊ぶのを見守る。

コーヒーを飲む。

愛犬と一緒に座る。

庭を眺める。

何もしない。

そんな「余白時間」をつくってくれます。

 

でも、もしものときには、

荷物を一時的に置く。

作業のために使う。

人が腰掛ける。

物資を整理する。

 

そんな使い方もできます。

 

もちろん、ベンチ一つで防災ができるわけではありません。

 

大切なのは、

「普段の暮らしのための場所が、非常時にも別の役割を持つ」

という発想です。

 

庭の水栓も、暮らしのインフラ

 

庭の水栓も同じです。

 

普段は、

植物に水をやる。

庭を掃除する。

子どもが水遊びをする。

愛犬の足を洗う。

外で道具を洗う。

そんな日常のために使います。

 

だから水栓は「庭の便利設備」です。

 

でも、もしものときには、屋外で水を使える場所があること自体が意味を持つ場合があります。

 

だから水栓を設けるときも、

「とりあえずここでいい」

ではなく、

 

何に使うのか。誰が使うのか。家との関係はどうか。

 

まで考える。

 

これも庭時間の設計です。

 

ガーデンルーフは「防災設備」ではない

 

屋根のある庭もそうです。

 

普段は、

雨の日に洗濯物を扱う。

夏の日差しを避ける。

子どもと外で遊ぶ。

ベンチに座る。

夕方に涼む。

家族で食事をする。

そんな「庭部屋」として使うことができます。

 

では、突然の大雨が降ったら。

雨を避ける場所になります。

 

荷物を一時的に置く場所にもなります。

家と外をつなぐ動線を確保する役割も持てます。

 

つまり、

普段から使う屋根が、もしものときにも役割を持つ。

 

だからこそ、庭に屋根をつけるときも「屋根の商品」だけを見ない。

その下で、どんな時間を過ごすのか。

そこまで考える。

 

ガレージは、もっと分かりやすい

 

ガレージは、普段から使う場所です。

 

車をしまう。

自転車を整備する。

工具を使う。

収納する。

趣味を楽しむ。

子どもと作業する。

ベンチを置く。

照明をつける。

場合によっては、ちょっとした秘密基地になる。

 

だからガレージは、

「防災用の倉庫」にする必要はありません。

普段から使いやすいガレージをつくる。

 

その中に、必要な道具や備蓄を適切に収納しておく。

 

そうすれば、日常と非常時が分断されません。

「普段は使わない防災スペース」を新しくつくるのではなく、

普段のガレージライフの延長に、もしもの備えを置く。

これは庭時間の考え方と相性がいいと思います。

 

植栽も、普段の庭時間の一部

 

植栽も防災設備ではありません。

 

木陰をつくる。

季節を感じる。

目隠しになる。

庭を眺める。

子どもが植物の成長を見る。

庭の手入れをする。

そんな「庭時間」をつくります。

 

ただし、植える場所や樹種、管理方法を考えることは大切です。

 

強風を受ける場所なのか。

道路に枝が出ないか。

電線との関係はどうか。

大きくなったときにどうなるか。

水の流れを邪魔しないか。

剪定できる場所なのか。

植物は生き物です。

 

植えた瞬間だけを見るのではなく、

5年後、10年後の庭を想像する。

それも「守る庭」の設計です。

 

「雨を受ける庭」も、普段は庭

 

前回、「場内治水」という考え方を紹介しました。

 

敷地に降った雨を、

どこで受けるか。

どこへ流すか。

どこに集めるか。

どこから先へ行かせないか。

という考え方です。

 

ここでも重要なのは、

雨水を受けるためだけの場所をつくる必要はない

ということ。

 

例えば普段は植栽を楽しむ場所。

芝生で子どもが遊ぶ場所。

庭の一角。

 

そうした場所が、雨が降ったときには水を受ける役割を持つ。

もちろん、敷地条件や排水計画によって方法は変わります。

 

大切なのは、

「防災設備を追加する」

という発想ではなく、

「普段使っている庭の機能を、もしものときにも活かす」

ということです。

 

「何もしない庭」にも意味がある

 

以前、このシリーズで「余白」について書きました。

庭に何もない場所を残す。

 

すると、

「もったいない」

と思うかもしれません。

 

でも、その何もない場所には未来の使い道があります。

 

子どもが大きくなったら使い方が変わる。

テーブルを置くかもしれない。

犬を迎えるかもしれない。

ガーデンルームをつくるかもしれない。

車が増えるかもしれない。

 

そして、もしものときには作業スペースになるかもしれない。

 

だから、

余白は「何もしない場所」ではなく、「何にでもなれる場所」。

防災という視点を加えることで、この余白の価値がもう一度見えてきます。

 

庭を「多目的」にしすぎない

 

ここは少し矛盾するようですが、大切なところです。

 

「災害時に役立つように」と考えすぎて、庭に何でも詰め込む必要はありません。

 

防災用品。

物置。

発電設備。

雨水設備。

非常用設備。

 

あれもこれもと追加していくと、普段の庭が使いにくくなってしまいます。

それでは本末転倒です。

 

庭時間で大切なのは、

普段の暮らしを豊かにすること。

 

防災は、その暮らしの中に自然に組み込む。

 

だから、

「防災のために庭をつくる」

より、

「暮らしやすい庭をつくり、その庭に防災の機能も持たせる」

と考えたいのです。

 

庭には「使う時間」と「使わない時間」がある

 

庭は、いつも誰かが使っている必要はありません。

 

朝は誰もいない。

昼は子どもが遊ぶ。

夕方は家族で過ごす。

夜は照明だけが灯っている。

休日にはガレージで作業する。

雨の日には誰も庭へ出ない。

そんなふうに、一日の中でも使い方が変わります。

 

さらに、

子どもが小さいとき。

子どもが成長したとき。

犬を迎えたとき。

車が変わったとき。

家族構成が変わったとき。

庭の役割も変わります。

 

だから庭を一つの用途だけで固定してしまわない。

一つの空間が、時間によって別の役割を持てるようにする。

これは、庭時間の大切な考え方です。

 

「もしものために、普段を犠牲にしない」

 

防災を考えると、どうしても「もしものとき」が主役になります。

 

でも私たちは、少し逆に考えてみたい。

「もしものために、普段の暮らしを犠牲にしない。」

 

普段は楽しい。

普段は使いやすい。

普段は美しい。

普段は家族が集まる。

 

その庭が、

もしものときには家族を支える。

 

この順番です。

 

防災は、暮らしの敵ではなく、暮らしを支えるための設計条件の一つ。

そう考えると、庭のつくり方も変わってきます。

 

「庭時間」の四つ目の時間

 

ここまで、このシリーズでは庭時間を三つの軸で考えてきました。

 

没頭時間。

子どもと遊ぶ。

家族で食事をする。

愛犬と過ごす。

ガレージで好きなことをする。

 

余白時間。

ベンチに座る。

風を感じる。

庭を眺める。

何もしない。

 

整う時間。

水やりをする。

掃除をする。

剪定する。

庭を手入れする。

 

そして、今回までの防災の話を重ねると、

もう一つの時間が見えてきます。

 

守る時間。

雨から暮らしを守る。

車を守る。

家を守る。

道路を歩く人の安全を守る。

そして、災害によって奪われる時間を少しでも減らす。

 

この四つは、別々ではありません。

 

子どもが遊ぶ。

庭が汚れる。

みんなで掃除する。

雨が降る。

庭が水を受け止める。

また晴れて、庭で遊ぶ。

そんなふうに、全部がつながっています。

 

庭は「もしもの日」にも暮らしを続ける場所

 

災害を完全に避けることはできません。

大雨が降ることもあります。

強い風が吹くこともあります。

地震が起こることもあります。

 

だからこそ、

「何も起こらない庭」

ではなく、

「何かが起きても、できるだけ暮らしを止めない庭」

を考える。

 

これは、防災設備をたくさん並べることとは違います。

 

普段から使っている庭。

普段から歩いているアプローチ。

普段から使っている水栓。

普段から座っているベンチ。

普段から使っているガレージ。

普段から車を停めている場所。

 

そうしたものが、もしものときにも機能する。

「いつもの庭」が「もしもの庭」に変わる。

その切り替えが自然にできる外部空間は、暮らしにとって大きな意味を持つはずです。

 

庭時間をデザインするということ

 

私たちは、外構を「きれいに仕上げる仕事」だけだとは考えていません。

 

子どもが遊ぶ時間。

家族が座る時間。

愛犬と過ごす時間。

ガレージで過ごす時間。

庭を手入れする時間。

何もしない時間。

 

そして、

災害によって奪われることなく守りたい時間。

 

その全部を、外部空間の中にどうつくるか。

それが「庭時間をデザインする」ということです。

 

防災のためだけに庭をつくるのではない。

 

普段から使う庭をつくる。

その庭が、雨の日にも、強風の日にも、もしもの日にも、家族の暮らしを支えてくれる。

 

「防災設備ではなく、普段から使う庭。」

 

私たちが考えたいのは、そんな庭です。

 

そして、それは特別な庭ではありません。

毎日の暮らしの中にある、普通の庭です。

 

ただ、その普通の庭を、

「何のために使うのか」
「どう使うのか」
「何を守るのか」
「10年後、20年後にどうなるのか」

まで考えて設計する。

それだけで、庭の意味は大きく変わります。

 

庭を楽しむことと、暮らしを守ることは、別のことではない。

 

それもまた、私たちが考える「庭時間」です。

 


次回予告

 

ここまで、

「暮らしの時間を奪われないための外構」

というテーマから、

雨を考え、
車を考え、
人と街を考え、
そして「普段から使う庭と防災」を考えてきました。

 

次回は、少し視点を変えます。

「外構は、災害が起きてから考えるものではない。10年後の庭を考える」

庭は完成した瞬間から、時間とともに変化します。

 

植物は育つ。
家族は変わる。
車も変わる。
フェンスや舗装も年月を重ねる。

だからこそ、外構にも「維持する時間」があります。

 

次回は、**メンテナンス・劣化・庭じまい・将来の暮らしまで含めた「長く守れる庭」**について考えてみます。

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