外構は絵より設計力が命

外構工事の打ち合わせで、きれいなパースやおしゃれな平面図を見せられた経験はありませんか。
もちろん、完成イメージを共有することは大切です。
しかし私たちは、外構工事は「絵が上手い会社」よりも「設計ができる会社」に任せるべきだと考えています。

 

なぜなら、外構工事は絵を描く仕事ではなく、現場を成立させる仕事だからです。

 

絵は描ける。でも現場を知らない

 

協力業者や職人さんから、こんな話をよく聞きます。

 

「図面は立派なんだけど、現場でどう納めるか全く考えられていない」
「高さや勾配が成立していなくて、結局現場で全部やり直しになる」
「納まりは職人任せで、設計者は一切現場を見ない」

 

これは決して珍しい話ではありません。

 

外構業界には、
・CADは使える
・パースは描ける
・デザイン用語は知っている

 

けれども、
・コンクリートの水勾配
・土間と建物基礎の取り合い
・エクステリア商材の正しい施工手順
・現場で起きる“逃げ”や“限界寸法”

を知らないまま図面を描いている人が、実は少なくありません。

 

外構は「設計＝施工」まで含めて設計

 

外構工事の設計は、建築設計とは性質が異なります。

 

住宅設計は、
・法規
・構造
・間取り
・動線

を考えるプロです。

 

一方、外構設計は、
・土
・水
・重力
・素材
・施工手順

を理解していなければ成立しません。

 

たとえば、コンクリート土間。

 

図面上では水平に見えても、
実際には必ず水勾配が必要です。

 

排水先がどこか
建物側に水が寄らないか
冬場の凍結はどうか

 

これを考えずに描かれた図面は、現場で必ず破綻します。

 

商材を知らずに描く危うさ

 

近年の外構は、アルミ製品・樹脂製品・複合素材など、多くの既製品を組み合わせて成立しています。

 

しかし、
・その商品がどう組み立てられるのか
・どこにビスが必要か
・基礎寸法はいくつ必要か
・施工誤差はどれくらい許容されるか

 

これを知らずに描かれた図面は、
見た目は良くても施工が地獄になります。

 

結果として、
「商品が悪い」
「メーカーの設計が甘い」

と誤解されがちですが、実際には
設計段階で現場が無視されているだけのケースが非常に多いのです。

 

安易な工事費設定が現場を壊す

 

もう一つ、見過ごされがちな問題があります。
それは、安易に決められた施工費です。

 

施工内容を理解せず、
「これくらいでできるでしょう」
「他社はもっと安いですよ」

 

そんな理由で組まれた金額では、
職人さんの手間は確実に削られます。

 

本来必要な工程を省かざるを得ない
丁寧に仕上げる時間が取れない
結果として品質が落ちる

 

これは誰のためにもなりません。

 

職人は下請けではなくパートナー

 

私たちは、職人さんを「作業員」だとは考えていません。
現場を一緒につくるパートナーだと思っています。

 

だからこそ、
・無理のない設計
・成立する納まり
・正当な施工費

 

を前提にプランを組みます。

 

設計者が現場を理解し、
職人がその設計を信頼できる。

 

この関係性があって初めて、
良い外構は完成します。

 

設計ができる会社とは

 

では、「設計ができる外構会社」とは何でしょうか。

 

それは、
・現場を知っている
・施工経験がある
・素材と商材を理解している
・完成後の経年変化まで想像できる

 

会社です。

 

きれいな絵を描くことではありません。
現場で成立し、10年後も問題が起きない外構を考えること。
それが本当の設計力だと私たちは考えています。

 

外構工事で後悔しないために

 

外構工事を依頼する際、
ぜひこうした視点で会社を見てみてください。

 

・その図面は、現場で本当に作れるか
・施工の話を具体的に説明してくれるか
・職人さんの立場を理解しているか

 

外構は、家の「最後の工事」ではなく、
暮らしを支え続ける「生活の基盤」です。

 

だからこそ、
絵よりも設計。
デザインよりも成立。

 

そんな視点で、外構会社を選んでいただけたらと思います。