雨を味方にする庭。家を守る水の境界線
2026/09/06
雨が降ったとき、庭を見たことがありますか?
どこから水が流れてきて、
どこに水が集まり、
どこから敷地の外へ出ていくのか。
普段は気にしない水の動きが、大雨になると突然見えてきます。
外構設計で大切なのは、雨が降らないようにすることではありません。
降った雨を、どこで受け止め、どこへ流し、どこから先を守るのか。
その「水の境界線」を考えることです。
庭時間から防災を考えるなら、雨は敵ではありません。
雨を味方につける庭。
それが、暮らしの時間を守る外構の第一歩だと私たちは考えています。
雨は、敷地の中で止まっているわけではない
外構を計画するとき、敷地の中だけを見ていてはいけません。
道路があります。
隣地があります。
高低差があります。
既存の側溝があります。
雨水桝があります。
そして、住宅があります。
雨が降れば、水は高いところから低いところへ動きます。
隣地から流れてくることもあれば、道路から敷地へ入ってくることもある。
逆に、自分の敷地に降った雨が、隣地や道路へ流れていくこともあります。
だから外構設計では、
「この土地に雨が降ったら、水はどう動くのか?」
を最初に考えておく必要があります。
これはデザイン以前の話です。
どれだけ美しい庭をつくっても、水の動きを無視してしまえば、雨の日に使えない庭になってしまいます。
「水の境界線」をつくる
家を守るためには、家そのものだけを考えるのではなく、
「ここから先には水を入れない」
という境界を考えることが重要です。
例えば玄関。
駐車場。
勝手口。
ガレージ。
庭と建物の取り合い。
掃き出し窓。
こうした場所は、雨水との境界になります。
わずかな高さの違い。
舗装の勾配。
排水設備の位置。
土留め。
植栽スペース。
それらを組み合わせて、水の流れをコントロールします。
外構の設計図を見ると、数字や線ばかりに見えるかもしれません。
でも実際には、その一本一本の線が、
「雨の日に、家族がどこを歩けるか」
を決めています。
設計GL・FLをどう考えるか
外構設計で非常に重要なのが、建物と敷地の高さ関係です。
設計GL。
建物のFL。
道路の高さ。
既存地盤。
隣地との高低差。
雨水をどこへ流すのか。
こうした高さ関係を確認せずに、駐車場やアプローチだけを先に決めてしまうと、後から水の問題が出てくることがあります。
特に新築外構では、
「建物が完成してから外構を考える」
のではなく、
建物と外構を一つの敷地計画として考える。
これが理想です。
もちろん、完成した住宅の外構リフォームでもできることはあります。
既存の高さを確認し、現状の水の流れを見て、その土地に合わせて改善策を考える。
外構は、単に地面をきれいに仕上げる工事ではありません。
土地の高さと水の動きを読み解く仕事でもあります。
「水を捨てる」だけではなく「受け止める」
雨が降ったら、できるだけ早く排水する。
これは一見、正しいように思えます。
しかし、大雨になれば、周辺の道路や側溝、排水施設にも大量の水が集まります。
だから、
「敷地の水を全部外へ出す」
だけではなく、
「敷地の中で一度受け止められる場所はないか」
という発想も大切になります。
植栽帯。
芝生。
土の庭。
透水性を考えた舗装。
雨水を受けるスペース。
こうした場所は、普段は庭として使います。
植物を楽しむ。
子どもが遊ぶ。
犬と過ごす。
ベンチに座る。
つまり「庭時間」のための場所です。
そして雨が降ったときには、水を受け止める役割を持つ。
これが、
「防災のためにつくった庭」ではなく、「普段から使う庭が防災にもつながる」
という考え方です。
これを私たちは「場内治水」と考える
敷地の中で水の動きを考える。
どこで受けるか。
どこへ流すか。
どこに溜まりやすいか。
どこから先へは行かせないか。
こうした考え方を、私たちは「場内治水」と捉えています。
大規模な治水施設を住宅につくるという話ではありません。
敷地の大きさや条件に応じて、
その土地の中でできる水のコントロールを考える。
それだけでも、外構設計の見え方は変わってきます。
庭の植栽スペースにも意味がある。
舗装の切り替えにも意味がある。
勾配にも意味がある。
雨水桝の位置にも意味がある。
「なんとなくこうした」のではなく、
雨が降ったときの土地の動きを想像して設計する。
これが外構設計の仕事です。
土間コンクリートも、悪者ではない
ここも誤解されたくないところです。
「雨水対策ならコンクリートを減らしましょう」
と単純に言いたいわけではありません。
群馬の暮らしでは、土間コンクリートは非常に便利です。
車を停めやすい。
泥がつきにくい。
雑草が生えにくい。
歩きやすい。
自転車やベビーカーも使いやすい。
車社会の群馬では、駐車場のコンクリート舗装が暮らしを支えている部分もあります。
問題は、
「何を使うか」より、「どこに、どんな役割で使うか」。
例えば駐車場はしっかり舗装する。
一方で、庭には雨を受け止められる場所を残す。
植栽帯を設ける。
排水計画を考える。
必要な場所には適切な排水設備を設ける。
一つの材料ですべてを解決するのではなく、敷地の中で役割を分けていく。
それが外構設計です。
「水たまり」と「水を受ける場所」は違う
ここは意外と重要です。
庭に水が溜まっていると、
「水はけが悪い庭だ」
と思うかもしれません。
もちろん、意図しない水たまりは問題です。
しかし、
水を一時的に受ける場所と、水が逃げずに滞留してしまう場所は別物です。
水の行き先を考えて設計された場所なら、雨が落ち着いたあとに適切に排水されるよう計画できます。
逆に、
「なんとなく低くなっている」
「排水先がない」
「家の方向へ勾配がついている」
という状態では、雨のたびに問題になる可能性があります。
だから見るべきなのは、
「ここに水があるか」
だけではありません。
「その水は、どこから来て、どこへ行くのか」
です。
雨の日にしか見えない庭がある
庭は、晴れた日にだけ見るものではありません。
雨の日には、雨の日の庭があります。
屋根から落ちる水。
葉に当たる雨。
植栽の間を流れる水。
舗装の上を流れる水。
水滴を受ける植物。
雨が止んだあとに残る湿り気。
雨を嫌うだけではなく、
雨の日の風景まで含めて庭を考える。
これも庭時間の一つです。
もちろん、家の中へ水が入ってはいけません。
歩く場所が水浸しになってもいけません。
車が出せなくなっても困ります。
だからこそ、
「雨を楽しむ」と「雨から暮らしを守る」は矛盾しません。
むしろ、雨の動きを理解しているからこそ、庭の中で雨と付き合える場所がつくれます。
前橋・群馬の庭だから考えたいこと
群馬の外構では、雨だけを見ていればいいわけでもありません。
強い風があります。
夏の強い日差しがあります。
冬には霜や凍結もあります。
車中心の生活があります。
つまり、
雨対策だけを切り取って考えるのではなく、
風・日射・寒さ・車・人の動きまで含めて、外部空間を考える。
例えば、植栽を増やせばいいという単純な話でもありません。
風を受ける場所なのか。
管理できる場所なのか。
車の出入りに邪魔にならないか。
子どもが走る場所ではないか。
犬が過ごす場所ではないか。
雨水を受ける場所として機能させるのか。
同じ「植栽」でも、置く場所によって役割が変わります。
だから外構は、商品を並べる仕事ではないのです。
家を守る境界線は、一本の線ではない
「ここから水を入れない」という境界線は、実際には一本の線ではありません。
建物の基礎。
玄関ポーチ。
アプローチ。
駐車場。
庭。
植栽帯。
隣地境界。
道路。
それぞれが連続しています。
雨水は、その境界を越えながら動いていきます。
だから、
家を守る水の境界線は、敷地全体で考える。
これが大切です。
外構を「建物の周りをきれいに仕上げる工事」と考えると、この視点は見えてきません。
でも、
「この土地で家族が10年、20年と暮らす」
と考えれば、雨の日のことも設計に入ってきます。
庭時間を守るために、雨を考える
庭時間とは、晴れた日に庭で楽しく過ごす時間だけではありません。
大雨の日に家の中で安心して過ごせること。
雨が上がったあと、庭へ出られること。
車をいつも通り使えること。
玄関まで安全に歩けること。
水の後始末に追われる時間を減らすこと。
それもまた、庭時間を守るということです。
前回は、
「災害から守りたいのは、家族の時間」
という話をしました。
今回は、その中でも最も身近な「雨」について考えてみました。
雨は止められません。
でも、
雨の動きは、外構設計によって考えることができる。
どこで受けるか。
どこへ流すか。
どこから先を守るか。
そして、その場所を普段はどう使うのか。
「防災のための庭」ではなく、
「暮らすためにつくった庭が、もしものときにも役に立つ」。
そんな外構を、私たちは考えていきたいと思います。
庭時間をデザインする。
それは、楽しい時間だけを設計することではありません。
家族がいつもの暮らしを続けられる時間まで、設計すること。
雨を味方にする庭とは、そんな庭なのかもしれません。
次回予告
次回は、雨からもう一歩踏み込みます。
「家を守る水の境界線。その次は、車を守る外構」
群馬では、車は単なる移動手段ではありません。
通勤、買い物、送迎、仕事。
暮らしそのものを支える存在です。
では、大雨や災害のとき、
「車をどこに置くか」まで外構設計で考えられているでしょうか。
次回は、駐車場・カーポート・ガレージと防災を、「庭時間」の視点から考えてみます。
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株式会社ローカルガーデン
住所 : 群馬県前橋市上大島町48-16
電話番号 : 027-226-1040
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