記念の手形、本当に安全ですか？

外構工事の打ち合わせをしていると、
「駐車場やアプローチのコンクリートに、家族の手形や足形を残したい」
というご要望をいただくことがあります。

 

お子さんの成長の記念、家族の思い出づくり。

その気持ち自体は、とても素敵なものだと思います。

 

ただ、外構工事を仕事にしている立場として、私はこのコンクリート手形をおすすめしていません。
理由は、見た目や好みの問題ではなく、安全性と将来性の問題です。

今回は、なぜ私がコンクリート手形に慎重な姿勢を取っているのか、現場目線で正直にお伝えします。

 

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コンクリートは「肌に優しい素材」ではありません

 

まず知っておいてほしい事実があります。

**打設したばかりのコンクリートは、強いアルカリ性（pH12〜13）**です。

 

これは、石けんや洗剤よりもはるかに強い数値です。

現場仕事をしているとよく分かりますが、
・ブロックを素手で運ぶ
・モルタルに少し触れる
それだけでも、手が赤くなったり、ヒリヒリしたりすることがあります。

 

大人の皮膚でもそうなのですから、
皮膚の弱いお子さんや、ペットの肉球が直接触れるとなると、

炎症や軽いやけど（化学熱傷）のリスクは否定できません。

 

「一瞬だから大丈夫」
「みんなやっているから平気」

そう言われることもありますが、リスクがゼロになるわけではありません。

 

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実際に起きている事故の話

 

過去には、セメントやモルタルを使った企画で、
肌に直接触れたことによって全身に炎症を起こした事故が、テレビ番組や企画物の現場で起きたこともあります。

 

専門知識のある人間からすれば
「それは絶対にやってはいけない」
と分かることでも、知識がなければ危険性は伝わりません。

 

外構や建築の現場でも同じです。

善意やサービス精神で
「せっかくだから手形を残しましょう」
と提案してしまう業者さんもいますが、それは優しさではなく、無知なリスクだと私は考えています。

 

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デザイン面・メンテナンス面でも正直おすすめできません

 

安全面とは別に、実用面でも問題があります。

 

● くぼみは必ず汚れます

手形や足形のくぼみ部分には、

・砂ぼこり

・泥

・枯れ葉

・コケ

が溜まりやすく、想像以上に汚れます。

 

掃除もしづらく、年月が経つほど見た目は悪くなります。

 

● SNSでは「一瞬」、現実では「毎日」

完成直後やSNSのストーリーズでは、確かに微笑ましい光景かもしれません。
しかし、外構は毎日目に入る生活空間です。

10年後、20年後も、その状態を「良い思い出」として見られるかどうか。
そこまで想像して決めてほしいと思っています。

 

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家族構成が変わったとき、どうしますか？

 

もう一つ、よく見落とされがちな点があります。

・子どもが生まれた
・家族が増えた
・ペットを迎えた

そのたびに手形を追加していくと、
「同じ瞬間を切り取った記念」ではなくなってしまいます。

 

無理に増やせば、デザインとしてもバランスが崩れますし、
後から消すことも簡単ではありません。

 

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思い出を残すこと自体を否定しているわけではありません

 

誤解してほしくないのは、
「記念を残すこと」そのものを否定しているわけではないということです。

・写真
・アルバム
・プレートやオブジェ
・安全な素材での記念品

思い出を形にする方法は、他にもたくさんあります。

外構は、
感情だけで決めるものではなく、長く安全に使う空間です。

 

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外構は「一時の演出」ではなく「一生の器」

 

私たち外構の仕事は、
その場の盛り上がりを演出することではなく、
10年後、20年後も後悔しない選択を一緒に考えることだと思っています。

 

記念のつもりで残したものが、
あとから「知らなければよかった」になってしまうのは、とても悲しいことです。

 

だからこそ、私はコンクリートの手形について、
おすすめしない理由をきちんとお伝えするようにしています。

 

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まとめ

・コンクリートは強アルカリ性で、肌への刺激が強い

・お子さんやペットには特にリスクがある

・実用面・美観面でもデメリットが多い

・思い出は、安全な形で残す選択肢がある

 

「知らずにやること」が、一番怖い。
このブログが、後悔のない外構づくりのヒントになれば幸いです。